ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

代表ポストを新設するといった措置がとられるべきと考えるのである。これによって第一に、上で指摘したシームレスな取り組みへと前進することができる。断続的な会議や報告の作成、災害後の応急処置的な支援のみでは、複合的な自然災害に対処できないためである。そして第二に、組織の統合によって規模を拡大することで、より多くの人的・物的な資源を獲得することができる。4.3.結論:「調整役」から主体的な「舵取り役」へ以上、本稿は自然災害を人間の安全保障に対する脅威と捉え、国連の同分野における、さらなる活躍のためのヒントを模索してきた。安全保障論における研究の蓄積を参照することで、次のような結論を得た。すなわち、国連は災害現場やフォーラムにおける「調整役」から、より実効的な取り組みを牽引する主体的な「舵取り役」へと変化すべきである。具体的には、以下の取り組みを実行することが望ましい。?従来の、災害支援時における調整能力の一層の強化?地域別に共通の防災基準の策定および技術協力?短期的にはOCHAの災害に対処する機能とISDRの上位に新たな代表ポストを設け、両組織の協力を促進、長期的にはそれらの統合無論これらの措置は直ちに達成できるものではないし、多くの資源や予算を要するだろう。しかしながら、自然災害がもたらす、人間に対する共通で巨大な脅威に鑑みれば、これは微小な、そして必要不可欠な投資であると言えよう。986