ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

その結論を導き出すことにする。3節(1)項で述べた通り、国際災害救助諮問グループ(INSARAG)のガイドラインを国際基準として国際搜索救助チームのメンバー国及び被災国に浸透させ、国際基準に合わない矛盾点があった場合、改正していくことを提言する。以下は、国際災害救助諮問グループ(INSARAG)のガイドラインに基づいた災害搜索犬受入れ時の課題解決のための五つの提言である。第一に、国連を主管とした国際諮問調査委員会を募り、有識者による「災害搜索犬の有効性」に関する調査結果について議論し、有効性が見られない場合、災害搜索犬の訓練方法の変更や災害搜索犬の代替手段を検討することを提言する。第二に、国連が主管となって国際災害救助諮問グループ(INSARAG)のガイドラインに「緊急捜索時の災害搜索犬の運用」の定義として「72時間以内に生存者の捜索が可能な場合、災害搜索犬を運用する」ことを盛り込むことを提言する。これにより、国際緊急国際捜索救助チームと災害搜索犬の運用時期が明らかになり、災害搜索犬が遺体捜索に駆り出されることがなくなるであろう。第三に、国連が主管となって国際災害救助諮問グループ(INSARAG)のガイドラインに「災害搜索犬の登録制度」を盛り込むことを提言する。これにより、海外及び日本の災害搜索犬を飼育する団体・公的機関をデータベースに登録し、災害時には税関・出入国管理、検疫(CIQ)手続きなしで登録した災害搜索犬を派遣することが可能になる。第四に、国連が主管となって国際災害救助諮問グループ(INSARAG)のガイドラインに諸外国の国際捜索救助チームのメンバー国が、輪番制で定期的に災害搜索犬の協同訓練を実施することを盛り込むことを提言する。これにより、例えば、日本と海外の国際捜索救助チームが、日本各地へ72時間以内に派遣可能な国際捜索救助チームの選定、展開手段、自己完結性の有無、捜索活動のガイドラインを訓練で確認することができる。第三項で述べたデータベースにその訓練データを保存すれば、災害時に最適な国際捜索救助チームを展開することが可能になるだろう。970