ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第28回佳作以下は、国際災害救助諮問グループ(INSARAG)のガイドラインに基づいた国際緊急援助チームの課題解決のための五つの提言である。第一に、日本は、国際捜索救助チームを混乱させた「人的被害に関する確定数発表の方式」を変更すべきである。この解決策として、国連が主管となって国際災害救助諮問グループ(INSARAG)のガイドラインに人的被害の発表方法を確定数ではなく推測値で発表するという規則を盛り込むことを提言する。第二に、日本は、「捜索救助(Search and Rescue)の概念」を国際標準に合わせるべきである。第一の提言と同様に、国際災害救助諮問グループ(INSARAG)のガイドラインに捜索救助(Search and Rescue)の概念は、遺体の救出には用いず、生存者の救出のみに用いるという規則を盛り込むことを提言する。第三に、国連が主管となって国際災害救助諮問グループ(INSARAG)のガイドラインに「緊急捜索の定義」として「72時間以内に生存者の捜索が可能なもの」を盛り込むことを提言する。これにより、国際社会が、被災国に対する緊急支援又はその他の支援を提供する判断材料となる指針を示すことになる。第四に、国連が主管となって国際災害救助諮問グループ(INSARAG)のガイドラインに国際捜索救助チームの「自己完結性」を確立することを盛り込むことを提言する。これにより、国際捜索救助チームが、衣食住はもとより通訳に至る準備を行うよう要請することが可能となるとともに、被災国政府・自治体への負担を軽減することが可能になる。第五に、国連が主管となって国際災害救助諮問グループ(INSARAG)のガイドラインに原子力災害に遭った被災国における捜索可能地域の判断基準を盛り込むことを提言する。東日本大震災において国際捜索救助チームは、福島原子力発電所80キロメートル圏外を捜索地域としたが、それが妥当なものであったのかを継続的に検査していく必要があろう。(2)災害搜索犬受入れ時の課題の解決策のための五つの提言阪神・淡路大震災と東日本大震災の両事例における災害搜索犬受入れ時の課題を整理し、969