ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

列に置くことはできませんが、国際NGOが各国参加国の垣根を越えて、人権保護にかかわるあまり、開発途上国の内政干渉まで行くことが仮にあるとすれば、避けなければなりません。国際紛争に限って言えば、各国はもとより、当事国の思惑があって、国際NGOの係わる問題を、はるかに越えて複雑であり、常任理事国の様々な意見の相違もあって、国連の運営に任されているのが現状です。世界戦争は、第二次世界大戦をもって、永久になくそうという希求に基づいて国連は結成し、国際活動を開始し、戦後処理にあたってきました。さらに国際紛争が戦争にまで発展しないよう抑止能力を発揮してきました。各国の緊張緩和に働きかけてきました。米ソ対立の構図は、自由主義国と共産主義(社会主義)国とのイデオロギー競争が基底にあって、両国の国家主権の主張にまで発展しました。それが過去の朝鮮戦争、ベトナム戦争など、代理戦争という、米ソ対立という形で起きました。さらに米国のイラク参戦という理由のない戦争は、国連活動に大きな傷を与えました。しかもアメリカの主権国家の姿を露骨に現し、それが国連の威信を傷つけることにもなりました。それ以後世界は、眼に見えない敵、国際テロの脅威にさらされることになります。局地戦争がたびたび起こるようになり、ふたたび戦争と平和という問題を、冷戦終結以前まで引きもどしてしまいました。しかし、米国とロシアが軍縮条約で、戦略核兵器削減目標を設定する新条約の批准にこぎつけました。世界の核兵器の九割以上を保有する両国が、冷戦終結以後、核兵器削減にとり組んできたことは、戦争なき平和のために画期的なことであります。将来にわたり、核兵器の破壊力の制御になるかどうかは、これからの課題と考えます。ここで中国は米国とロシアが批准にこぎつけたことを、どう捉えているのか。どう影響するだろうか。今までロシアと歩調をあわせてきた中国は、この条約に歩み寄って、協調しなければならない。「米国・ロシア核軍縮が先だ」の立場を、ここにいたって、維持できなくなりました。米国とロシアが、核兵器を一、〇〇〇発以下の時代を目ざしている以上、自国のエゴイズムを通すわけにはいかず、この条約の枠組みに入らざるをえないと、考えます。ましてや、世界はこの条約がなければ、これから進む核兵器の老朽化に伴う、財政負担におしつぶされてしまいます。核兵器製造が終わって、久しいと言われま920