ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

機能が強化され、NGOの評価を高めることになりました。さらに、例えば、女性、先住民など、エスニック問題、貧困者・失業者・障害者など、社会的弱者の問題に集中されるようになりました。それらの問題は、NGOの役割を果たすのに身近な問題として、活動の場を広げることになりました。今までは、NGOの協議の対象機関に限られておりましたが、平和、安全保障、軍縮および、金融の領域まで、協議を拡大するに至りました。ここで注目されることは、NGOの安全保障理事会への参加問題に関しては、冷戦後、安全保障理事会が人道介入の名の下に、人権に積極的に、かかわることでNGOも人権問題に、一層参加し協力・貢献することになりました。さらに経済社会理事会とNGO協議会制度が改定されることになりました。その理由はやはり、協議的地位をもつNGOが圧倒的に欧米に集中していることの反省に立ち、さらに南北格差の問題に、微妙に温度差があり、いがめ影響を与えることは啀ません。欧米編重から開発途上国の加盟団体としての地位向上に軸足を置くことになりました。NGOに与えられた役目は、「協議」であり、それは経済社会理事会で取り上げられた様々な問題の提出、会議への出頭、口頭、または文書での意見などを協議・調整することにあります。これらのことは、開発途上国が、その貢献を評価するまで、地道に続けていかねばならないと思います。第27回奨励賞1国家主権と国連活動について今はなき、政治学者・丸山眞男は国連について、こう意見を述べておりました。『主権国家は、武力の正当性を独占します。だから、国連の組織が主権国家を唯一の単位としている限り、その働きは大国の利害が左右する。本当の世界組織としての国際紛争を解決するのに役立たない。』(「座談」9)と国連の機能を限定した論調でした。冷戦終結後、国家間のつながりが緩み、各国の「国益」を尊重される傾向がでてきました。それでイデオロギー化が顕著に現れてきました。中国の台頭がその拍車をかけております。NGOの国家の枠組みとイデオロギーを克服した団体こそ、国連の国家紛争解決のサポート役にふさわしいと考えます。国際NGOの主たる仕事であります人権保護の問題と、国家主権の問題を同919