ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

スタッフも多く、シンクタンクとしての役割を有しているものも多い。こうして専門性を有した国際NGOは、伝統的な国家や国際機関の調停と違って活動の柔軟性が高く、スピーディーに展開でき、紛争当事国の市民社会との連携も深いと評価されている。紛争解決におけるNGOの位置付け1992年にガリ国連事務総長が提言した『平和への課題』以降、平和構築が紛争解決を安定化させる概念として、政府、人道援助、外交などの分野において重視されてきた。紛争解決におけるNGOの活動は、非政府の第三者(nongovernmental third party)による介入とも言い換えられる。NGOの存在が非公式であることは明らかであろうが、その活動を「介入」として捉えるのは、現在の国際紛争が内戦として戦われることが多くなっており、また、国家間戦争の場合も共通のアイデンティティを越境して有したグループ間の地域紛争として捉えるのが適していることが多く、紛争当事国政府を飛び越えて外部からの介入という形態を取るようになってきたためである。いまやNGOが担う活動は、これまで考えられてきたような草の根の和解や開発援助だけではなく、紛争当事者間に和平合意をもたらす「調停(mediation)」や、「直接的予防(direct prevention)」と呼ばれる活動にまで拡大している。ここで言う直接的予防とは、国際機構や国家が行う構造的な予防外交を補い、直接的に平和構築や紛争解決に繋がる活動を指し、具体的には人権教育や開発援助、民主化支援、選挙監視、法の支配の支援などの活動が挙げられる。チガスは、多様な国際NGOの活動を図1のように整理した。880