ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

一般に、自国の草の根レベルに根付いて活動することの多い途上国のNGOは、住民のニーズを詳しく把握しており、サービスの質が高い。地方と都市部の貧困層、若者、虐待された女性など社会的に疎外されやすい弱者への支援のほか、政治的・文化的配慮が必要となる問題についても幅広い適応性を備えているため、国際機関や国際NGO、現地の政府と比べても住民に受け入れられやすく、仕事を進めやすい場合が多い。現地に根付いた情報収集力とNGO間のネットワークを活かして、大規模な公共プログラムの中でも試験的なプロジェクトを実施することも可能な段階となっている。現在、途上国のNGOは、国際NGOや先進国のNGO、活動現場を持つ国連機関などからの支援や現場における連携・活動協力を通じて、その能力や実力を着実に拡大してきている。持続可能な開発の主体が、途上国政府やその国の人々であることを考えれば、当然のことといえる。援助国の二国間援助機関の間でも、途上国のNGOとの関係を強化する傾向の兆しは見えつつある。例えば、人口やリプロダクティブ・ヘルス/ライツ分野に対する、経済協力開発機構(OECD)メンバー国のODA総額はHIV/AIDS分野を除き、減少している。しかし、途上国のNGOに対する直接援助だけは唯一増加している。先進国に本部を置く「北」のNGOをバイパスして、援助国から直接的に「南」のNGOへ資金を供与する流れは、徐々にではあるが確立しつつあり、その動きはさらに強くなってきている。先進国のNGOを中心に、国際社会が技術や資金的な支援を通じて途上国のNGOの能力を強化することは、持続可能な開発を実現し、MDGsを達成するためにも大きな貢献となるだろう。特に国際NGOには、より一層の期待がかけられている。5-3-2社会開発の重要性開発課題の中でも、特に教育や保健分野、つまり社会開発についての取り組みは極めて重要である。2015年までにMDGsを達成できるのか。できなければ期限を延長すればいいという安易な考え方は許されない。社会開発を進めて、一人ひとりの能力を強化し、貧868