ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第27回最優秀賞システムの限界を示している。開発の現場、そして、国際会議などでのアドボカシーによるNGOの意見の反映拡大が求められている。5-3今後の展開戦略5-3-1 NGOの南北格差解消に向けて紛争や自然災害などに苦しむ人々への緊急支援や、世界的な環境破壊への取り組み、社会的弱者の権利保護など、NGOの活動範囲は多岐にわたる。NGOは、市民社会を代表し、地球規模の課題に挑む重要なアクターであり、今やその存在抜きに途上国に対する開発援助を語ることはできない。MDGsの達成を実現する上でも、NGOを含む市民社会の役割は今後、より重要になっていく。MDGsの中の目標8「開発のためのグローバル・パートナーシップ」では、企業や研究機関など市民社会を構成するそれぞれのセクターが何をすべきか、具体的な項目が挙げられている。こうした一連の関連セクターの中でも、市民社会の声を代表し、国境を超えたネットワークを通じて各国や世界の政策変更に影響を与えてきた実績を持つNGOの役割は、今まで以上に大きくなってきている。こうした状況の中、国連機関とNGOはパートナーシップをはぐくみ、協力して課題に取り組む努力を続けている。一方、現在すでに何らかの連携を持つNGOを見ると、国連NGOとして認定されているのは欧米先進国に本部を置くNGOが圧倒的に多く、途上国のローカルNGOは依然少数派にとどまっている。国連人口基金のパートナーNGOにも同様の傾向が見られる。国連とNGOとのパートナーシップには「南北間格差」が存在するのである21)。こうした状況の背景には、依然として途上国のNGOの多くが、政策の提言、策定、実施などにおいて十分な能力を持ち合わせていないという現実がある。また、能力がありながらも、国際社会に対してその実力や実績をアピールすることに慣れていない、あるいは国際社会で通用する案の作成の経験が浅いために、正当に評価されていない場合もある。21)南北間格差については、国連人口基金のデータでも、先進国に本部を置く国際NGOの数が全パートナーNGOの4分の3を占めているのが現状である。開発途上国に基盤を置くNGOとの連携がより推進される必要がある。867