ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

ページ
866/1096

このページは 佐藤栄作 受賞論文集 の電子ブックに掲載されている866ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

佐藤栄作 受賞論文集

ルタナティブ)宣言は、地球サミットの時から始まったと考えられる。第5章保健・人口・ジェンダー分野におけるNGOと国連のパートナー(※1)シップ本章では、保健・人口・ジェンダー分野におけるNGOの活動に焦点を当てる。5-1 NGOから見た保健・人口・ジェンダーの問題5-1-1 MDGsとUNFPA2000年9月の国連ミレニアム・サミットで採択されたミレニアム宣言は、その後8つの開発目標と18個のターゲットからなるミレニアム開発目標(Millennium DevelopmentGoals: MDGs)にまとめられた19)。人間開発の基本的な分野に関わる開発課題が具体的な数値目標とともに掲げられたMDGsは、いわば国際社会の公約である。MDGs達成のために、当事者である開発途上国政府はもちろん、国連を中心とする国際機関と並び、NGOなどの市民社会、企業が果たし得る役割は大きい。とりわけ、様々な機関やセクターに先行して地球規模の課題に取り組むことも多いNGOの動向は、MDGs達成のカギを握っていると言っても過言ではない。MDGsの発表を背景に、NGOと国連の関係は今、一段とその重要性を増している。数ある国際機関の中でも、開発途上国で自ら活動を展開する、いわば「現場」を持つ機関は、長年にわたり国際会議やプログラム実施などの面でNGOとの密接な協力関係を保ってきている。主に、途上国の人口政策を支援する国連機関として1969年に設立された国連人口基金(UNFPA)もその1つである。主な活動は、人口政策と開発戦略、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ20)の推進、および両分野での政策提言であり、MDGs※1 本章は、国連人口基金東京事務所長池上清子氏の論文「保健・人口・ジェンダー分野におけるNGOと国連のパートナーシップ」、講演(主に、2004年7月12日のFASID第123回Brown Bag Lunch)から多くの示唆を受けている。86419)UN Millennium Report,“We the Peoples, the Role of the United Nations in the 21 st Century,”(A/54/2000),March. 2000,“United Nations Millennium Declaration”, (A/RES/55/2.), 18 Sept. 2000,“Road map towards theimplementationoftheUnitedNationsMillenniumDeclaration,”(A/56/326),6Sept.200120)リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは、性と生殖に関する健康と権利のこと。1994年の国際人口開発会議(ICPD)で初めて世界的に合意された。ICPDの採択した行動計画の定義によれば、「生殖の仕組み、機能、過程のすべての事柄について、ただ単に疾患がないというだけでなく、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態」であり、「すべてのカップルと個人が、子どもの数と出産間隔を自由に責任を持って決定する権利と、そのための情報、教育、手段を求める権利を持つ」(『国際協力用語集第3版』国際開発ジャーナル社、2004年)ことと定義される。ジェンダーの平等、母子保健や安全な性行動の推進、生殖器疾患、更年期障害、身体に障害を残す恐れの高い性にまつわる伝統的な慣習、性暴力など幅広い取り組みがある。