ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第27回最優秀賞ナーとして国連会議に参加できるよう求めていた。これらのことを受けて、地球サミットにおいては、市民の代表であるNGOを政府の対等な「パートナー」として扱うこととなった。つまり、政策策定段階からの参加が不可欠であるとの合意がなされ、NGOの意見を真に反映させるため、本会議だけでなく、その準備会議にも参加が認められるようになった。しかし、これらは、開発途上国の反対を押し切った形での合意であった。また、ストロング事務局長は、経済社会理事会に協議的地位を有するNGOだけでなく、協議的地位のないNGOにも参加資格を与えたため、より多くの、特に開発途上国のNGOの意思決定過程への参加が可能となった。これ以前の国連会議においても、例外的に経済社会理事会に協議的地位を持たないNGOの参加が認められたこともあったが、完全に定着し始めたのは地球サミット以降である。12),13)2-3地球サミット以降のNGOと国連の関係地球サミットにおいて、政府とNGOのパートナーシップという考えが打ち出されたが、開発途上国の反対を押し切った形であったこともあり、それは制度的に十分に裏打ちされたものではなかった。地球サミット以降の一連の国連会議におけるNGOの貢献が認められ、1996年に改定された経済社会理事会NGO協議制度においては、開発途上国の草の根レベルのNGOにも協議的地位が与えられるようになるなどの改善が図られた。しかし、NGOの「オブザーバー」という公式の立場は変わらなかった。これは、NGOの実際の活動や貢献が「オブザーバー」の域をはるかに越えるものであり、「パートナー」という対等な地位を与えられるはずであるとするNGOや先進国の期待を裏切るものであった。さらには、NGOに対して強い警戒心を抱き、快く受け入れることのできない開発途上国の主張により、経済社会理事会NGO協議制度に、「NGOには交渉権がない」との新たな一文が明記されている。12)文献1,p.3613)文献1,p.41861