ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

5),6),8),9)2-1地球サミット以前のNGOと国連の関係国連は創設当初より、NGOを参加させる制度を持っている。経済社会理事会NGO協議制度がそれである。国連憲章第71条は「経済社会理事会は、その権限内にある事項に関係のある民間団体と協議するために、適当な取り決めを行うことができる」7)と規定している。この条項によって、NGOは「オブザーバー(傍聴者)」として国連の協議に参加することが認められている。この第71条自体も、1945年にサンフランシスコで開催された、国際機構に関する連合国会議において、アメリカ政府代表団の顧問を務めていたNGO代表の発案により盛り込まれたものである。当時のNGOの主な役割は、政府代表が決めたことを広報し、実施に協力するなど、あくまでも政府に不足しているところを補完することであった。NGOに公式に認められていた権限は「オブザーバー」であり、実質的な交渉権はなく、政策策定はあくまで政府の役割とされていた。しかし実際には、NGOは国連の活動に積極的に参加し、多大な貢献を残している。ただ、制度上は「非公式」なものと見なされていたため、国連の記録には残らなかったのである。8),9),10),11)2-2地球サミットにおけるNGOと国連の関係の転機その後、1992年の地球サミットにおいて、政府とNGOの間に「パートナーシップ」という新たな関係性が打ち出された。これは、会議事務局長であったモーリス・ストロングによるところが大きい。これによって、NGOは、単なる「オブザーバー」から政府の対等な「パートナー」へと位置付けられるようになった。これは、政策策定段階において市民の声が十分に反映されていないことが、国連での決定事項が十分に実施できていない原因ではないかという認識が芽生え始めたこと、また、各国の市民と深く関係する地球的規模の問題が増加したことなどに起因する。一方で、スウェーデンやノルウェーなどの北欧諸国では、以前から、NGOが政府と対等な立場で国連会議に参加する形をとっており、北欧諸国を除く各国は、NGOが政府と対等なパート8605)文献1,p.226)文献1,p.267)国連on line:国連憲章,,2002-11-288)文献1,pp.24-259)文献1,p.3510)文献1,pp.30-3111)馬橋憲男:国連とNGO-市民参加の歴史と課題,p.87,有信堂高文社(1999)