ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

である。様々なアクター間のパートナーシップがグローバル・ガバナンスの要目であるが、国家、国際機関、NGO、企業の4つのアクター間の協力関係のうち、国連システムとNGOのパートナーシップは特に重要と言える。なぜならば、地球社会の公益を指向する唯一の国際機構である国連システムと、自らの生活の実体的向上と共に、困窮状態にある人々への連帯と支援を指向し行動するNGOとの間には、行動原理の共通性があるからだ。したがって、この2つのアクター間の相乗効果を持つ協働的パートナーシップこそが、公正で持続可能な世界のためのグローバル・ガバナンスの鍵を握るといえる。1),2),3),4)1-3 NGOとNPOの定義NGOの同意語として“NPO:Non-Profit Organization”などが使用されることもある。一体、これらはどう違うのだろうか?歴史的、空間的文脈によってそのニュアンスは異なるものの、実体としての区別は容易ではない。一般的には、「国家(政府)の失敗」を強調する時には「非政府組織」が使われ、「市場の失敗」を強調する時には「非営利組織」が多用される。しかし、日本では一般的にNPOは「地域を拠点に活動する民間の非営利団体」であり、NGOは「国際的な活動をする民間の非営利団体」であると認識されている。なお、本論文においては、国連用語ともなっている「NGO」という呼称を使用する。本論文においては、NGOを以下の4項目を満たす団体と定義する。(1)活動の目的が公益である(2)主として、専門性を身に付けた人々の集団である(3)組織力を持って行動する(4)他に強制されて活動するのではなく、自発的かつ自治的に公益活動を行う8581)馬橋憲男,斎藤千宏編著:ハンドブックNGO-市民の地球的規模の問題への取り組み,p.16,明石書店(1998)2)鳥越浩之:環境社会学,p.129,財団法人放送大学教育振興会(1999)3)毛利聡子:NGOと地球環境ガバナンス,p.16,築地書店(1991)4)文献1,pp.22-23