ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第26回佳作以上のような現状において「核兵器なき世界」に向けた国際社会の関心が寄せられる中での国連の役割、課題、そして可能性とは何であろうか、国連は、そもそも軍縮を視野に入れた「国際の平和および安全の維持」をその目的としており、国連憲章第2条に明記されている。また、国連憲章第9章の経済的及び社会的国際協力における第55条には、「人民の同権及び自決の原則の尊重に基礎をおく諸国間の平和的且つ友好的関係に必要な安定及び福祉の条件を創造するために、国際連合は、次のことを促進しなければならない」とあり、それぞれ「a一層高い生活水準、完全雇用並びに経済的及び社会的の進歩及び発展の条件」、「b経済的、社会的及び保健的国際問題と関係国際問題の解決並びに文化的及び教育的国際協力」、そして「c人種、性、言語又は宗教による差別のないすべての者のための人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守」が謳われている。軍備に関する文言は見られないものの、上述したテヘラン宣言の主旨からすれば、軍縮とも大きく関連性を持つことは明らかであるといえよう。また、第26条においては、より具体的に「世界の人的及び経済的資源を軍備のために転用することを最も少なくして国際の平和及び安全の確立及び維持を促進する目的で、第47条に掲げる軍事参謀委員会の援助を得て、作成する責任を負う」として、軍備規制に関して明示した規定が存在する6。現状においては、軍備管理や軍縮に関する国連の中心的な組織は軍縮会議である。同委員会は、1978年の第1回国連軍縮特別総会決定により設立された「軍縮委員会」が1984年に「軍縮会議」と変更されたものである。もっとも、核廃絶は、これまでの軍備管理・軍縮とは性質が異なるため、国連の軍縮会議を超えて活動しなければならない部分も出てこよう。なぜなら、軍縮会議の現状は、議題採択にかかる無用の議論・混乱を避けるため、伝統的に毎年同じ議題が採択されてきており、2010年も8つの議題を採択しているものの、実質的な進展は見られないからである7。すなわち、同会議は65力国が加盟し、多数国間で軍縮条約を作るための世界唯一の交渉機関であるが、1996年に核実験全面禁止条約6 国連が「地球問題群」(issues on UN agenda)と称して抱えている問題として、原子力も数えられている。http://www.un.org/en/globalissues/atomicenergy/index.shtml<最終アクセス日時2010年2月25日>7 議題1として「核軍備競争停止及び核軍縮」、議題2「核戦争防止」(カットオフ条約(FMCT)を想定)、議題3の「宇宙における軍備競争の防止(PAROS)」、議題4の「非核兵器国に対する安全保障の供与(NSA)」、議題5の「放射性兵器等新型大量破壊兵器」、議題6の「包括的軍縮計画」、議題7の「軍備の透明性(TIA)」、そして議題8の「国連総会への報告書」、である。http://www.mofa.go.jp/Mofaj/gaiko/un_cd/cd/gaiyo.html <最終アクセス日時2010年2月25日>837