ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

そして、国連安全保障理事会や総会の会合を広島もしくは長崎で行う、という提案を行った。これは両会の手続規則からも可能である。広島もしくは長崎で会合がもたれることにより、例えば広島で会合が開催される場合には各国首脳が平和記念資料館を訪問し、核兵器がいかに非人道的兵器であり、使用されてはならない兵器であるのかを目の当たりにすることになるといった効果も考えられる。そして、忘れられがちな核兵器の問題として劣化ウラン弾問題を取り上げた。国際法上、違法性があると思われるこの兵器を規制していくことも、「核兵器なき世界」の一環である。使用実績のある米国を説得することは困難が伴うが、これもICJの勧告的意見を要請するなど、何らかの手段に打って出る時機に来ているといえよう。そして最後の提案として、シンクタンクとしての国連大学の活性化を挙げる。国連大学については、「核兵器なき世界」実現に向けての叡智の創出をその研究成果において期待したいところである。以上のような政策提言を行ったが、結局、現代の国際社会において多数国間主義(multilateralism)の要となるのは国連であり、国連は平和の推進・実現のための国際組織なのである。国際社会の組織化と緊密化が深化した現代において「核兵器なき世界」を実現する好機がそこまで来ており、国連の役割と可能性は大きい。832