ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

ページ
747/1096

このページは 佐藤栄作 受賞論文集 の電子ブックに掲載されている747ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

佐藤栄作 受賞論文集

第26回最優秀賞「核兵器廃絶条約その内容と実現可能性を高める取組み」副田雄要約従来の核兵器問題への取組みを概観すると、1核兵器保有国に核兵器廃絶の意思は無いし、廃絶の強制もできない、2核兵器問題への取組み方針は各国の国内事情の変化、政権交代などによって変化する、3特に核兵器廃絶に向けた取組みは一国でも同意しなければ実現しない、ということが明確になる。このような現状認識の下、核兵器廃絶実現の最も効果的な方策を核兵器廃絶条約(以下、NWATと称す)の成立と考え、当該目標達成に資するNWATの内容や今後の取組みを検討するのが当論文の趣旨である。NWATは全ての国々が締結する必要がある。しかし、核保有国が核兵器を廃絶する意思が無い中では、この最初の条件で行き詰る。そこで「核兵器を廃絶する意思があるか?」という質問を「他の全ての国々が核を廃絶したならば、核兵器を廃絶する意思があるか?」という質問に変形する。NWATをこの変形された質問に同意する国々が加盟する条約として考えた。NWATは全ての国々が加盟した時に一挙に核兵器廃絶を実行に移す条約である。各国の国内事情の変化などによる核兵器問題取組方針の揺れを活用し、核兵器廃絶の方向に揺れたタイミングで条約に加盟させた上で、脱退を禁止することにより、この揺れを固定化することを狙いとしている。その後、当論文は現在核兵器廃絶論議が進まない理由を踏まえながら、NWATが定めるべき条項を論じる。結果として、NWATでは核兵器を廃棄する時点での詳細なプロトコルを全加盟国が相互に核兵器廃棄に向けた進捗を確認し合える内容で定めるべきこと、核兵器のない世界が実現した後も当該世界永続のため、核兵器再開発に向けた行動を早期745