ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第17回優秀賞環境負荷を最小限にとどめることが求められる。第三の未共時化国における問題は、未共時化国だけでは対処することが困難であるにもかかわらず、軽視されることが多い。国連はこれまでも飢餓、貧困、人口計画などにおいて重要な役割を果たしてきたが、そのより一層の充実が必要である。第四のNGOの問題は、今後の国連のあり方を考えるに当たってきわめて重要である。経済社会理事会は国連憲章により、その権限内の問題について関心を持つNGOと協議できる。一二〇〇以上のNGOが現在諮問的地位を与えられている。主権国家の集合体である国連において、主権国家をはみだしたNGOとの連携を実現することは、大きな試練となる。以上述べたような役割を国連が果たすには、現在の国連ではやはり不十分である。地球環境問題を、他の分野をも視野に入れ、総合的に扱い、主権国家とNGO双方の持つ人的・経済的な資源を統括する機関が求められる。アナン事務総長は、一九九七年七月に発表した「Renewing the United Nations: AProgram for Reform」(A/51/950)の中で、信託統治理事会を地球環境などの人類共通の領域を保全するためのフォーラムとすることを提案している。これにならって、信託統治理事会を「環境理事会」に改組し、「安全保障理事会」「経済社会理事会」「環境理事会」の三理事会体制としてはどうであろうか。これは、第三章で述べた三つの問題領域とも符合する。一国一票の民主的手続きを保証された総会では、一般的な問題を話し合い、国際的な問題に関するおおまかな合意の形成を図る。総会から選挙によって選出される各理事会は、それぞれの分野において迅速かつ具体的な行動をとる。国連本体と共に国連システムを形成する専門機関は、それぞれの扱う分野に応じて各理事会と連携する。特に経済、開発の分野では、資金力のあるIMF、世界銀行、WTOなどとの協力が不可欠となる。また、新設された環境理事会は、国連とNGOとのより密接な関係を模索する場とする。将来的にNGOに議決権を与えることも含めて、長期的視野で検討することが望まれる。71