ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

る共通の基準を適用することの困難さがあるとする考えにもまた頷くことができる。本稿では、「政策要因」の改善を念頭に、アフリカという大きな枠組みが、地域共同体、各国の個別性を尊重しながら、中立的に補完しあって繋がる方法の可能性を検討してみたい。1.仮説と提言(1)単位からの視点グローバリゼーションという言葉を聞くようになって久しいが、情報、金、そして人の移動がますます地球規模で行われるようになり、その安全性、安定性、効率化を担保するための諸制度も共通の基準のもとで設けられるようになってきた。財やサービスを利用する側から見れば、世界中のあらゆる存在が共通の基準で認識され、一元的な規則に組み込まれることは、取引の利便性や予測可能性が高まることによる安全性の確保につながる。また、財やサービスを提供する側にとっても、取引制度を理解することで市場の拡大が見込める。共通の基準の土台には単位という分類がある。単位には、距離や気温を表すものから、個人や家族など人間社会を表すものまで多種多様である。しかし、様々な制度の基礎になっている割には、その注目度が小さい印象を受ける。単位といえば、紀元前の中国で秦の始皇帝が行った度量衡の統一などが思い出されるが、国家の統治を効果的に行うためにも単位を設定することが必要だった。さて、身近なところで単位を探してみると、例えば日本には一合という単位がある。一合は、一里歩いた後に喉を潤すために丁度よい飲料水の量とされており、十合は一升となる。また、一里は三十六町であり、一町が大人の足で1分間かかる距離であるので、一里は36分の距離であることがわかる。この他にも、一尺は指先から肘の長さであるし、一間は六尺で両腕を広げた広さである。つまり、これらの単位は人間が基準になっており、日常生活のなかで最も使いやすい単位であった訳である。今日では、長さを測る基準としてはメートル法が使われることが多いが、今でも使い慣れた固有の単位を用いている職人は多い。メートル678