ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第24回佳作熱帯林保全のための国際的法的枠組みの必要性および社会開発型援助の重要性中村祐貴序章地球環境問題と熱帯林減少温暖化1、オゾン層の破壊、大気・海洋・土壌汚染、酸性雨、森林(熱帯林)の減少と劣化、生物多様性の減少、砂漠化、淡水の減少、食料安全保障の危機など、地球環境問題は数え上げればきりが無いが、その多くは森林問題と密接に関わっているだけでなく、どれも長期的な視点に立って早急に解決に取り組まなければならない課題である。そのため、地球環境の保全にとって森林の適切な利用、管理、整備、保護等の森林の保全がますます重要となっている。熱帯林の急速な減少が地球環境問題のテーマとして認識されるようになってから、持続可能な森林管理の国際的な実現が追求されてきたが、2008年の現時点でもその実現にはいたっていない。その一方で、地球的規模での環境問題を解決する枠組みとしてオゾン層の保護、温暖化防止、生物多様性の保全など、それぞれの分野ごとに多国間協定によるレジーム(国際的法的枠組み)が形成され成果をあげてきた。また、今日において「持続可能な開発2」は環境問題を考える際の重要なキーワードである。持続可能な開発とは、地域の環境容量以上に天然資源の利用を増やすことなく、世界全体の人々の生活を質的に向上させることを求めるものである。持続可能な開発のためには地域によって異なる行動が必要となるかもしれないが、「天然資源と環境の保全」「経済成長と公平性」「社会開発」の3分野の統合が必要であると考える。そこで本論文では、第1章で熱帯林減少の要因と影響を概説し、第2章で様々なアクターによる熱帯林の保全に向けた取り組みを記した上で、第3章で熱帯林保全のための国際的法的枠組みの必要性を、第4章で根本的な原因である貧困の削減と社会開発型援助の重要性を論じ、終章で総括を行う。1その原因の20%は森林の減少によるものである。2国際連合広報センターHPより617