ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

NGOは国連が抱える諸問題の隙間を巧みに埋め合わす補完的な役割を果たす。世界を正三角形で表現すれば国家(政治)と市場(経済)とコミュニティー(社会)が各頂点であり、NGOは三角形の中心にあると言える20。頂点の各分野に補完が求められた時にその隙間を埋める形で機敏に反応して活動をする組織だといえよう21。わが国はこの三角形のバランスが良く、NGOが発展する隙間がないため活動が目立たないが、世界ではNGOの活動を無視する事が出来ないほど強大なものになっており、NGOとタイアップして諸問題に対処することが不可欠なほど重要なパートナーになりつつある。環境問題は地球規模で諸問題が新たにかつ複雑に絡み合って発生しており、各国政府もすぐに対応するのが容易でない状況にある。そこで、問題をいち早く確認して新しい解決方法を試行し機動的に対応する事が可能なNGOを活用する事が国連にとっても必要であり気候変動枠組条約制定にも大きな力となるはずである。成功事例では、リオ・サミットで「アジェンダ21」が合意されて以降、各国ではコミュニティーレベルでの活動を進めてきた。ヨハネスブルグサミットではUNDPが中心となり「赤道イニシアティブ」が打ち出され、生物多様性や持続可能な自然資源の利用を通じて貧困緩和を図ることにより成果を出したコミュニティー活動の事例に焦点を当てており、これにノミネートとされた活動では殆どの場合、NGOが中心的な役割を果たしている。こうした、WEOの設立とNGOとの関係強化は今後の気候変動枠組条約の発展はもとより、地球環境改善に多大な貢献をするものと強く信じているが、地球環境改善には何によりも我々一人ひとりの環境問題に対する理解と協力が必要である。さが地球環境破壊という愚かな行為が人間の性であるとしたら、それを学び人類の叡智を集結し努力の末に克服し地球上の多様な生物や遺伝子や生態系を維持し持続可能な社会を築くことは人間の使命と言えるのではないだろうか。今こそ人類は新たな文明を築くべきである。61220付属図表参照21 例えば、わが国でも大規模災害時にNGOが一時的に発展する理由は、こうした正三角形のバランスが崩れたためである。