ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

2007年版『エネルギー・経済統計要覧』によると、2004年時点で中国のGHG排出量はアメリカに次ぐ第2位で、世界全体の18.1%を占める。また、インドは全体の4.3%を占め、日本に次いで第5位である(表1参照)。更に、毎年10%近い驚異的な経済成長を続けているこれらの国は、1990年から2000年までのGHG排出伸び率が、中国は32.8%、インドは62.5%を示し2025年にはアメリカの排出量の約1.5倍になると予想されている。また、地球環境産業技術研究機構は2005年時点での非附属書I国の排出割合を総排出量の47%としている。世界のGHG排出量を1990年から2005年で比べると、アメリカとオーストラリアを除いた9附属書Ⅰ国は45%から30%に減少し、米・豪両国は25%から23%とほぼ横ばい、これに対し非附属書Ⅰ国は30%から47%へと大幅に増加している。さらにIPCC第3次報告書も指摘しているように、非附属書Ⅰ国は2020年には50%の割合を占めると予想されている(図3参照)。したがって、附属書Ⅰ国がいかにGHG削減に努めようとも、急速な経済成長を続ける非附属書Ⅰ国が有効な対策を取らない限り、削減の成果は相殺されてしまう。このような懸念から、高成長を続ける中国やインドが削減数値目標を負わない国際枠組みが有効でないことは自明である。【図3:温室効果ガス排出割合の変化】(財)地球環境産業技術研究機構とIPCC第3次報告書をもとに作成5849 地球環境産業技術研究機構の研究発表時にはアメリカとオーストラリアが京都議定書から離脱していたため、付属書Ⅰ国から分けられた統計となっている。現在、オーストラリアは11年ぶりに政権奪還を果たした労働党のラッド首相のもと、2007年12月3日に再び京都議定書批准文書に署名をした。