ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

6つのシナリオからみる『地球温暖化問題』―実効性ある国際枠組み形成にむけた国連の役割第24回優秀賞赤松直美要約「このままだと、いずれ地球地図を描き直さなくてはならなくなるだろう。」2004年のベルリン会議で英国科学顧問のデイビッド・キング氏が警告したように、ここ10年で地球環境は悪化の一途をたどっている。近年いよいよ深刻さを増した環境問題だが、その背景に「地球温暖化」の存在がある。本論文では、幾多の環境問題の中でも、特にこの「地球温暖化」問題に焦点を当て、改善のための国際枠組みと国連の役割を検証したい。まず、第Ⅰ章では、なぜ「地球温暖化」に注目するのかを論じる。一言でいえば、広い範囲に影響を及ぼすスケールの大きな問題だからだ。具体的には、第一に、不可逆的な問題で「待ったなし」の状況にある。そして第二に、他のすべての環境問題と密接に関連している。第三に、紛争や貧困の火種ともなりえる。最後第四に、環境という枠を超えて近年政治的側面も強まっている。以上の四点を本章で細かく検証し、地球温暖化問題に焦点を当てる理由を述べるとともに、この問題の重要性を確認する。続く第Ⅱ章では、地球温暖化改善のための国際枠組みを考察する。緊急を要する地球温暖化問題に取り組むためには、実効性ある国際枠組みが不可欠となる。では、「実効性ある国際枠組み」とは何だろうか。本章では、国際枠組みの実効性を「6つのシナリオ」に照らして検証する。この「6つのシナリオ」とは、最も実効性ある枠組み「シナリオA」から、最も望ましくない「シナリオF」まで設定している。これに現在の枠組みである京都議定書を当てはめると、「シナリオE」という結果が導き出された。京都議定書は、国575