ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

ページ
545/1096

このページは 佐藤栄作 受賞論文集 の電子ブックに掲載されている545ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

佐藤栄作 受賞論文集

第23回佳作る紫外線脅威の増大や、人類全体の生存を脅かす地球温暖化につながることが、ほぼ確実視されるようになってきた。また、物理的に人口が増えることは、土地開発による自然生態系の破壊や、二酸化炭素の吸収力の脆弱化につながる。人口問題はエネルギー問題と直結する。そして、己の利便や快適を最優先する現代社会においては、エネルギーの利用技術の進歩が常に先行して、エネルギー分配の知恵や、省資源、省エネルギー、廃棄物の処理技術が後手に回るところに問題の核心が存在する。二章個人の幸福と地球環境問題二-一人々が追い続けるもの人間は生きていればそれで幸せか?と質問されれば、「否」と答える人が多いことには容易に想像できる。日本国憲法が謳うように、健康で文化的な最低限の生活を営みたいと願うものは多い。2章では個々の人間にとっての環境問題という視点を見てみる。人間は自らの意思で生きる、教育を受ける、能力発揮のための仕事を得る、子孫を残すといった、基本的な権利と名誉、財産、独立、自由といった尊厳の保持や、自己実現、社会貢献、その他もろもろの幸福の獲得といったことを望み、その可能性が継続することを望む。それら権利や尊厳を守るために、人は日々活動し続け、さらなる高みを目指し続ける。個人の生活と地球環境問題解決の一つの視点は、ただ人間が生存するためだけの解決策は到底受け入れがたく、仮にそのように描かれた処方箋は、成功の可能性はまずない。さらに、特定の個人、集団、民族、先進国といった限定されたものの生存保障を描いた地球環境問題解決の処方箋も(一時的な力関係で成立したとしても)、許されるべきものではないし、それは新たな紛争の火種となり決して永続しない。つまり、環境の保全を前提とした、持続可能な社会の形成には、特定の者(国、地域)の利害を優先することはできない。その実現のためには、共生の精神をいかに根付かせるかが鍵となる。543