ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第23回佳作分かる。また、中絶や女性のエンパワーメントなどの諸問題は宗教問題に関わることもあるため政治的に扱うことが困難である。さらには、政府自身が人口問題に関われるほどの余裕のない途上国があるのも忘れてはいけない。そのため、情報の提供や教育を徹底的に広めるためには、草の根からの運動が必要不可欠なのだ。よって、NGOとの積極的連携が欠かせない。UNFPAは発足以来他の機関と比べてNGOとの協調関係が長く保たれているのが特徴である。このノウハウを生かして、国連とNGOの繋がりを更に強化していくことは重要なことである。そして、同時に今後多数存在するNGOをどのように統括していくかということもまた大きな役割となる。NGOが多くあっても乱立していては意味がない。NGOの援助が多くあっても効率的に行われなかった例として2004年に起こったスマトラ島沖地震の例が挙げられる。被災地において、NGOなどが迅速に動き、援助に向かったという評価すべきことがあった。しかし、それらの複数の援助がかぶっている地域が生まれ、全く援助を受けない地域との間に大きな差が生まれたということが起こっていた。そのようなことがおこらないためにも、作業を効率的に割り振る中心的な役割を担い、中心的な役割としての権威を保てるのは、国連しかないだろう。七、終りに人口増加は今に始まった問題でないことは承知の上だが、残念ながらその問題が解決の方へ向いてはいない。むしろ、こうしている間にも地球上の人口はどんどん増え続けている。そして、それに付随する問題もさらに深刻化し、蔓延している。今、人口増加にたいする危機意識を持ち、人口問題の裏側にどのような問題を孕んでいるのか、そしてそれらの問題に対して何を為すべきかを熟考し、それを迅速に実行に移すことが求められているのである。しかしながら、先進国と途上国の溝や政治的にはデリケートな問題に、問題解決への道が阻まれている。その中でも国連は国際社会の中でその中心的な役割をきっちり担い先頭に立ち、人口問題の深刻さを国家だけではなく下層の人々に伝える啓蒙活動をもっと活発的に行い、人口問題と環境問題、人口問題と持続可能な開発を密接に関わらせ539