ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

標に深く関わっている。例えば、目標3にあるジェンダーの平等の推進と女性のエンパワーメントの促進、目標4の子供の死亡率削減、目標5の妊産婦の健康の改善、目標6のHIV/AIDS、マラリア、その他の疫病の蔓延防止などは、リプロダクティブ・ヘルスの実行で目標達成に近づくと思われる。また逆に、目標2にある初等教育の完全普及の達成によって、子どもに対する教育の場が開け、女児も積極的に教育に関わることが想像できる。このことから、女性が社会に出る機会が増え、出生率の低下に繋がることが期待できる。このように、MDGs達成の鍵の一つとして人口問題の解決が存在するのである。人口増加がMDGsとどのように関わっていくのかは今後さらに議論される必要があるだろう。また、国連が開発の分野において人口問題をどのように取り扱っていくべきなのか、より具体的な政策を打ち出し、国際社会においてその先頭に立つことが求められているように思われる。例えば、開発援助が必要な途上国には世界銀行や国際通貨基金(IMF)などで行われている貧困削減戦略ペーパー(PRSP)のように、開発と同時にどのような対策を取っていくのかという具体的な人口問題対策を提案させ、それらをどのように実行していくのかということを報告させることなどが提案できる。もちろん、この提案を実際に行うには様々な反発が起こる可能性もあるであろう、現実味を帯びていないかもしれない。しかし、問題の深刻化に「待ったなし」という状況であることは忘れてはならない。また国連が人口問題において国際社会の中で先頭に立つためにも、国連開発グループ(UNDG)の中で、国連開発計画(UNDP)や国連児童基金(UNICEF)、WHO(世界保健機関)などとUNFPAがどのように連携を図り政策を進めていくのかもより深く考えなければならないことである。また、UNFPAの活動は、政策的に一機関として取り組みにくい課題や大きな機関が把握しきれない個人間の問題も含むため、UNFPA単体で活動を行う際にかなりの困難を伴っている。例えば、アフリカなどでは、伝統的な考えや土着的な宗教の信仰から、避妊などを忌み嫌う傾向がある。これらの潜在意識を払拭するには、地道にその土地に密着して活動を行う必要性がある。よって、上からの政策だけでは問題解決は大変難しいことが538