ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第23回佳作とには至らなかった。その代わり国連ではICPD+10を記念して、特別総会が開かれたりしたが、各国が歩調を合せて人口問題を取り組むという積極的な姿勢は見られなかった。六、今後の国連の役割以上のことを踏まえ、国連が人口問題の帰結に向けてどのような役割を担っていくべきなのか見ていく。まず、先にも述べた通り、国際的に本来の人口増加に対する危機意識が薄れてきていることに加え、各国が一体となって積極的に人口問題を取り扱う姿勢があまり見られなくなってきた。人口増加の裏側には様々な問題を抱えているため、それらの問題を解決するにはジェンダー問題や中絶問題、途上国における貧困問題が大々的に取り扱われがちではある。そのため本来の危機意識が薄れがちなことは確かなことであるが、この危機意識を皆に広めていく啓蒙活動は国連の重要な役割の一つでもあろう。国際的な危機感の薄れが今後大きな過ちを生み出しかねないのである。そして本来の危機意識を取り戻させ、先進国と途上国の間にある溝を埋め、そこに存在する人口問題について国連が各国に問題に対して具体的に取り組むことを求めていくべきである。それに加え、これまでに開催されてきた人口会議を見ていくと、人口問題と環境問題の繋がりが徐々に重要視されていってないように思われる。環境問題もまた危機感を持って行動をすぐに起こす必要のある問題であるが、京都議定書などの例にも見られるように様々な国家の利益やしがらみがあるため、中々解決の糸口が見出せない状況である。しかしながら、国連は率先的に環境分野と人口問題の両方を密接に関わらせ、人口問題からも環境分野にアプローチをするという行動を起こす必要性があるであろう。また、先に述べたように、ICPD、ICPD+5両会議のどちらにおいても、人口問題と開発についてあまり活発に議論されているようには見受けられない。1992年のリオサミットにおいて提言された「持続可能な開発」を実施していく上で人口問題は考慮すべき問題である。そして人口問題は、ミレニアム開発目標(MDGs)に掲げられている8つの目537