ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第23回佳作在すること、避妊実行率が低いこと、そして女性の社会進出があまり進んでいないことなども、出生率の高さを物語っている。三、人口増加の影に存在する問題―「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」これらの問題のように人口増加の裏には様々な問題を抱えている。最近では、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」の問題などが人口問題の裏に潜む問題の一つとして頻繁に話し合われている。この「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」が初めて定義されたのは、1994年の国際人口開発会議(カイロ会議)であり、まだまだ始まったばかりの議論である。カイロ行動計画第7章の中で「人間の生殖システム、その機能と活動過程のすべての側面において、単に疫病、障害がないということばかりではなく、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを指す」「すべてのカップルと個人が自分たちのこどもの数、出産間隔ならびに出産する時を責任をもって自由に決定でき、そのための情報と手段を得ることができる基本的権利、ならびに最高水準の性に関する健康およびリプロダクティブ・ヘルスを得る権利を認めることにより成立している」と定義されている。「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」については、女性の権利として認めないという立場や否定的な意見もあり、様々な論議が行われている。それらの論議を考えるのは別の機会として、全ての国においてこれらの権利が守られているのかというと決してそのようなことは言えない。そもそも人口問題の話し合いの中でこれらの権利が叫ばれるようになったのは、途上国の高出産率と人口爆発の裏に、社会的に女性が差別され、女性の自立はおろか教育もろくに受けることができないという状況があることである。女性は途上国によく見られる家父家長制度の中では子どもを産む奴隷として見なされ、安全で幸せな出産を行えていないことがしばしば起こっている。そして、情報不足の中で正しい避妊を行えず望まない出産を迎えたり、妊婦がきちんとしたケアを受けられずに出産によって死亡してしまったり、またHIV/AIDSなどの感染に母子ともに脅かされていたりするのである。533