ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

地域毎にその特色を見ていくと、アジアでは人口転換が進んでいる国とそうでない国の差が激しい地域である。東アジアでは日本を始めとして少子高齢化が問題となっており、人口は減少傾向にある。また中国では一人っ子政策の実施などにより人口は減少傾向にある。しかしながら、長子制の残る中国では胎児の段階で女子と分かった途端に中絶を行ったり、女児を売り飛ばしてしまうなどの問題や男女比に差が生まれていたりと、その政策の裏には多くの問題点も抱えている。アジアで2番目に人口が多い国・インドでは、早くから人口政策を取っていたがなかなか効果は見られず依然出生率は低下していないが、人口自然増加率は減少に転向している。その一方、ラオスやカンボジア、パキスタン、バングラディッシュなど東南アジアのほとんどの国々では、人口政策は進んでおらず、依然として出生率は増加傾向にあり、人口も増え続けている。ラテンアメリカは人口問題においては優秀と言えるだろう。ラテンアメリカでは、60年代から90年代にかけて出生率は6.0から3.0と半減しており、自然増加率も減少している。もともとキリスト教の国が多いことも理由に挙げられるだろうが、女性の社会進出に対して抵抗が少なく、女性の社会進出が順調に進んでいることも出生率の低下につながっているであろう。しかしながら、貧困や食糧不足の問題は依然としてラテンアメリカ全体に蔓延っているのが現状だ。アフリカにおいてはその中でもニジェール、アンゴラ、エチオピアなどの国で出生率が高い。その背景には様々な要因がある。まず、出生率が高い国の共通点として、乳児の死亡率が高いことが挙げられる。乳児の死亡率の高さは水の衛星問題など生活環境面の問題に起因し、その分出生率が高くなってしまう。またこれらの国においては、子どもも立派な働き手として家計に貢献することから家族労働力の確保のための多産を美徳とする伝統や文化が根付いていたりもする。そのため、多くの労働力を必要とする零細農家や都市の貧困層において出生率が非常に高い。また、年金・保険制度の未発達などの理由から、お年寄りや怪我や病気などで労働が出来なくなった人々の代わりとして子供が重宝される。さらにサハラ以南の国では、早婚や一夫多妻制、イスラム教や伝統的宗教の信者が多く存532