ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第23回優秀賞必要を満たし、しいては貧困や人口問題といった大きな問題の解決に企業が関わっていけるのが理想である。議員とのパートナーシップの例としては人口・開発に関する議員連盟が設立され、国や地域レベルでの議員ネットワークが出来たことがあげられる(児玉122)。1990年代の開発関連の国際会議に並行して開かれた、UNFPAが支援する世界議員会議では人口問題についての声明文が採択された。国会議員とのパートナーシップの成功例として、アナン事務総長がこれを他の国際機関の模範にするよう報告書を提出させたほどである。このように、国連は国家だけではなく、様々な非国家アクター(NGO・企業・議員)をもパートナーにし、目標達成に向けて進むことが今後ますます必要である。さらに、それぞれの利害をうまく調整し、長所を生かしつつ共通目標に向けて活動していくことが重要である。6.資金確保MDGsを達成するには資金の確保が重要である。冷戦の終焉とともに、国家間で戦争をするような緊張状態はなくなった。本来ならば国家安全保障として軍事費に予算を割くのではなく、開発など平和への取り組みに投資してもおかしくないはずである。しかしながら、現状として世界の軍事支出は年間約1兆ドルに上る。一方、2003年の開発援助は690億ドルであった(UNFPA2005 95)。MDGs達成にかかる費用は、2006年には1350億ドル、2015年までには1950億ドルに達すると推定される(ibid)。世界の平和と安全を考えるとき、平和を脅かす存在に対して軍備に予算をかけ「対症療法」的に行動するのではなく、初等教育の徹底や伝染病の予防などといった貧困の根本原因をひとつずつ取り除いていく「原因療法」的行動が地道ではあるが大きな結果を生むといえる。そのためには、十分な資金が必要である。貧困削減と成果重視という方向性のもとに世界銀行は「ファスト・トラック・イニシアティブ」として、万人のための教育達成に最も効果の出そうな国に集中投資をしている(黒507