ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

ことや、季節野菜をうえることで収入が増えたという報告がなされている。また、非識字の女性の多いクラスでは妊娠中の注意や予防注射、女性の権利などが教えられており、「暗闇だった人生が明るくなった」という声も寄せられている。(ユネスコHP)寺子屋を作ることで、識字率を上げ、健康に対する知識を広めることで、MDGsに掲げられている乳幼児や妊婦の死亡率を下げる働きが出来ている。また、読み書きが出来ることで仕事の幅が広がり、収入増につながることから、貧困・飢餓の削減にも役立っている。寺子屋運動は成功しているものの、MDGsの目標達成にはまだ遠い。安全なところでないと寺子屋運動が出来ないことや、教師や資金が不足しているという理由からである。「2002年EFAグローバルモニタリングリポート」では、エイズや紛争、教員不足、資金不足などの理由により、現況において大幅な改善がなされない限り、78カ国が2015年までに非識字率を半減することができないと発表している。今後「大幅な改善」をしていく必要がある。健康と資金については別の章で述べることとし、それ以外の改善策について考えてみたい。教員不足に対しては、先進国からより多くのボランティアを募り先生になってもらうことや寺子屋の卒業生がなれるように身分を保証していくことが必要である。紛争で教育活動が出来ないときは、国連の介入で紛争を早期にやめさせることが重要である。また、支援を受けている国の指導者に教育の大切さがわかってもらえるよう地道に説得していくことも大切である。各国に初等教育徹底のノルマを課し、達成することがその国の国際評価の向上につながるようにインセンティブを与えることも効果的である。「大幅な」改善はすぐには難しくても、「小幅の」改善を多く積み上げることで結果としては大きな改善につながると考えられる。4.リプロダクティブ・ヘルス/ライツと女性のエンパワーメントリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康/権利)は「次世代をつくることに関わる保健ニーズを総合的に」扱う枠組みのことで、特に女性の健康と権利を守る目的がある。(池上69)リプロダクティブ・ヘルスでは安全な出産や産後のケア、家504