ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

ある。2003年5月20日、驚くべき証言が米国でなされた。上院政府活動委員会の小委員会が開催した北朝鮮のミサイル輸出や麻薬密輸に関する公聴会において、北朝鮮から中国に脱出するまでの約9年間、北朝鮮のミサイル開発に関わったという元技師が証言し、1北朝鮮が開発しているミサイル部品の90%以上が日本から運ばれた、2在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が関与しており、3ヵ月毎に船で運ばれる、3その船は万景峰号という船であると明言したのであった。11この証言は日本政府に大きな衝撃を与えた。というのも、日本の金及び技術、物資などが万景峰号という日本と北朝鮮の間を航行している北朝鮮の貨客船によって運ばれていることを、実際政府筋は薄々掴んでおり、公然の秘密とされていたところであったが、このように議会証言というはっきりとした形でその事実が語られたのは、初めてのことだったからである。こういった客観的状況に鑑み、わが国政府はカネの動きに規制をかける観点から、2004年1月に「外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案」を可決、次にモノの移動を規制する立法の必要性から、「特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法」を同年6月に可決している。尚、行政側はこの立法措置が取られるまでの間、外国船舶に対して寄航国が立ち入り検査などを実施して、船の構造や設備が安全基準を満たしているかを監督する制度であるポートステートコントロールを強化することで対応してきた。特に万景峰号にこの措置を厳しく適応したことは記憶に新しい。こういった政府の対応に対し、ケネス・キノネス元米国務省北朝鮮担当官は、2003年の世界週報9月2日号の中で「日本はPSIを初めて発動した国である。(2004年)6月以降、日本政府は日本の港湾へ寄港しようとする北朝鮮船舶の検査を強化した。この結果、同国の貨客船『万景峰号92』は新潟港入港を中止し、両国間の交易に大きな打撃を与えた。別の港でも、北朝鮮の貨客船や漁船が検査を受けた。同時に日本当局は、在日朝鮮人総連合会(朝鮮総連)と朝鮮総連による北朝鮮絡みの金融取引全般に対する監視・調査を強化47211 Senate, A Hearing on Drugs, Counterfeiting, and Weapons Proliferation : The North Korean Connection,Governmental Affairs Committee(May 20, 2003), pp24-25. http://web.lexis-nexis.com/congcomp/printdoc