ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

テロと核拡散のリンケージとその対応策について:PSIを中心に第22回佳作高野雅紀はじめに1989年12月のマルタ会談によって冷戦が終結し、早いものでもう17年もの月日が経過しようとしている。その間我々は、冷戦に変わる新しい国際システムを模索しつつも、なかなか決定的なものを見出せないまま今日まで来ている。そういった状況下において、現在の国際社会で懸念されているのが、テロの横行と核拡散である。この2つは国際社会の安全、安定を確保する上で防止しなければならない極めて重要な事象であり、決して見逃したりやり過ごしたりできないのは火を見るより明らかである。更に言えば、この2つがリンクすることは、国際社会にとっては悪夢以外の何ものでもない。しかし実際は、パキスタンのカーン博士の逮捕を契機に核闇市場が摘発されたことや、イランの核開発疑惑、そして北朝鮮を見れば明らかなように、この2つが密接な関係をもって、新聞紙上等を賑わすことは少なくない。したがって、この2つの問題を防止するために各国及び各国際機関等は協力し、努力を払い、有効な対策を模索している。そういった中で、現在注目を集めつつあるのがPSI(拡散安全保障イニシアチブ)である。そこで、本論文は、今日までの核拡散防止の努力を振り返るとともに、テロと核のリンケージに関する分析を行い、核拡散に対する有効な決定打となり得るPSIに焦点を当て、そして最後に核拡散と日本の対応についての意見を述べたいと思う。463