ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第22回優秀賞(表)評価指標Pu U根拠政治的インプリケーション秘匿性LHPu再処理は大規模な再処理施設と原子炉を必要とする遠心分離法によるウラン濃縮は施設拡散が可能で秘匿性が高い。核実験の必要性HLPu製核爆弾は爆縮型なので複雑な起爆装置を実用化の前に実験することが必要である。必要な技術力LHPuは原子炉さえあれば、再処理できるが、U濃縮には遠心分離やガス分離等高度な方法が必要。北朝鮮にとって秘匿性の高さが決め手となった可能性大。核保有の既成事実は交渉を有利にし、秘匿中はKEDO支援を受け続けることができる。北朝鮮が核兵器保有を目指し、ミサイルにすぐ搭載可能な状態にしたければウランが適している。北朝鮮の技術は劣るので技術がよりやさしいほど開発対象に選ばれやすい。小型化容易性HLPuの方が兵器化に必要な量が少ないた小型化が容易であればあるほど、長距離め。また砲身型と爆縮型では後者の方がミサイルの弾頭に乗せやすく望ましい。小型化しやすく、Puはそれに適する。(テポドン2号の弾頭重量は1トンまで)コストLHウラン濃縮には大規模施設と濃縮用の多量の遠心分離機が必要資金的制約から、低いコストはPu兵器開発の大きなインセンティブとなる破壊力HL臨界量で比較すると(周囲が水の場合)均衡を目指さない抑止や外交カードとしPu239の最小臨界量は金属で約5kg、U235の最小臨界量は金属で約22kgての核保有を当面の目標としているならば、破壊力は主要な論点ではない鉱物入手容易性LH北朝鮮はウラン資源を大量に保有。兵器もエネルギーも全て国産でき、政策目標として目指しやすいが優先度低。濃縮技術の民生利用可能性LHPu濃縮施設は核燃料サイクルを行う国のみにしか民生利用の可能性はない。U濃縮技術は原発燃料に役立つ。北朝鮮がどれほど核兵器保有を政策として追求しているかどうかによるが、相対的にいえば民生利用しやすい方が利点が多いので政策として追求しやすい。Pu=プルトニウム、U=ウラン、H=High、L=Low、筆者作成。(2)北朝鮮の核開発の意図はどこにあり、妥協可能性はあるか北朝鮮が、HEUをはじめとする核兵器を開発する利点は多々あるが、意図は大きく分けて二つありうる。核抑止のための核保有か、核保有は絶対目標でなく、単に交渉カードなのかである。それによって交渉の着地点も異なろうし、合意の容易さも予測できる。核抑止が北朝鮮の政策目標であると見る理由としては、わざわざ枠組み合意違反を破棄してプルトニウム開発に着手したこと、イラクの運命から読み取った、核を持たなければいずれ侵攻されるという恐怖、枠組み合意を遵守したところで裏切られるかもしれないと451