ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

ページ
423/1096

このページは 佐藤栄作 受賞論文集 の電子ブックに掲載されている423ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

佐藤栄作 受賞論文集

第22回最優秀賞見も根強いが、それは環境(特に空気量は実に少量[地上1平方糎当りに僅か1kg])の脆弱さから導かれる錯覚だと思われる。図1(A)からも明らかなように、エネルギー資源の主役は交代し実効的に無限であろう。今世紀は「資源問題に振り回されず、優れたエネルギー技術追求」に専念すべきである。【太陽起源再生可能エネルギーは未熟】:その技術の本質は、「太陽からきて最後は熱になるエネルギー」を途中で発電などに利用しつつ最後はやはり全て熱にするものであるから、人工的熱放出が殆どない。地球上の熱量は変わらないから、化石エネルギーなどのように地球温暖化のみでなく「局所異常気象」増大によって[図1(A)の上欄参照]生物生存を脅かすのは減るが、エネルギー密度が低く非定常・不安定で工業的大規模エネルギー源には程遠い。条件のよい地域でも必要電力の一割以上負担させるのは危険で、補助的である。工業的実用化に成功しても量的にはさらに数十年を要し[図1(A)参照]、当面核エネルギーに頼るほかはない。【エネルギーと環境:貧困との闘い】:資源なく社会構造が脆弱で孤島の日本は一国では生きられない。数十年先を見越し世界との共存を計るべきだが、現在、世界人口の約15%相当の11億人が一日一ドル以下の貧困に喘ぎ、地球を不安定にしている。20億人が電気を持たず、さらに20億人は百W/人以下の生活という。国連は世界のGDP約5千兆円のせめて0.7%をODA援助資金にと豊かな国に呼びかけているが、日本さえ僅か0.2%である。日本は率先して「安全で安価な新平和核技術」を確立して世界の「貧困対策」にも貢献し、「核拡散・核テロリズム」の温床撲滅を実現すべきである。【打開への企業と国家の役割】:原発には、60年来史上最大の投資がなされてきた。必要なのは「原理に忠実な新炉型技術」の実用化である。勿論国家・国際機関の有効な支援は是非必要であるが、すでに社会的産業基盤もかなりよく用意されており、真に強力巨大な新産業形成には民間企業家の奮起が必須である。理想論のみを唱えていると見えるであろうが、実は上記の要求を満たす具体的な新核技術が存在する。それを以下に示そう。421