ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

から、中立性の外観を放棄することの対価がとりわけ大きかったと考えられるからである。一方、当事者の同意や要請のない地域紛争への介入の場面においては、中立性の持つ価値は弱まり、代わって正統性が重要な意味をもつだろう。カンボジアにおいては、紛争当事者が不完全ながら合意したパリ協定が存在していたという事実から、中立性を掲げることが正統性と強く結びついていたのであり、介入の可否・成否は第一義的には正統性という観点から判断すべきであると思われる。紛争当事者が和平というゴールを国連と共有せず、それに反対して暴力に訴える場合には、国連が中立性という価値を犯すという対価を払う必要があるか否かを、正統性という観点から個別慎重に決定しなければならないといえるだろう。346