ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

の活躍を皮切りに、チンギス・ハーンの大モンゴル帝国の建国、15世紀以降の西欧先進国の植民地化政策による世界帝国主義時代、19世紀に入って、ロシアやアメリカにドイツ、イタリア、日本も加わった戦争と略奪の繰り返しであった。自然条件や資源に恵まれない国家や民族による他民族国家の領土や資源の略奪と抑圧であった。文明の発達による近代兵器による戦争は大義を掲げて、大規模で凄惨さを極めるようになった。21世紀は戦争の歴史を平和の歴史に変える世紀のはじまりとし、自衛の名による正義や大義を掲げる全ての戦争は認めず、国際紛争の解決は話し合いにより平和的に解決するようにしなければならない。アメリカ主導の第二次大戦以降の戦争や地域紛争は形が変わってきている。朝鮮戦争は、同一民族が自分たちの居住地域の中で戦った大国の代理戦争であったので、大国の都合で戦争は完全な終結を迎えることができた。ベトナム戦争は、民族が自分たちの領土を外敵の侵略から守る戦いであったから、指導者の意志と民族の団結でゲリラ戦を展開して、近代兵器の外敵に勝利した。湾岸戦争の場合にはフセイン大統領がクエートから軍を引いたのに対して、アメリカがイラクの殲滅を望まず米英軍の抑圧的監視活動は続けられたが、イラク人の生活が保証されたために戦争は終結した。これに対して、その後のアフガニスタンやイラクでは現在もなおゲリラ戦が続いており、市民を巻き込んで泥沼化の様相を呈している。アフガニスタンは東西の冷戦時代に、アメリカとロシアが東西攻防の要衡として両国の都合で翻弄されてきた。この間、多くの部族や民族が両国の支援を受けて対立抗争を繰り返すなかで、タリバンが政権を握り、オサマ・ビンラディンはここに活動の拠点を移した。2001年の9・11テロが発生すると、アメリカはテロ撲滅の大義の下にアフガニスタンを征圧した。この戦後復興と国造りの作業を進める過程で、過去の米国両国による民族の抗争支援の影を色濃く残し、民族間抗争が続いている。この不安な状況のなかで治安回復に当たる異教徒の駐留軍に対して激しい憎悪の攻撃を加え、混迷を極めるなかで国造りは困難なものとなっている。336