ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第20回佳作集団レイプ事件が世界の非難をあびたが、メディアの報道によるところが大きくムスリム人、セルビア人、クロアチア人三者同罪でお互いに深い傷を負うことになって共存関係はくずれた。コソヴォの戦いは、600年前にバルカン連合軍がオスマン軍に敗れた戦いを記念して、1989年、コソヴォ平原でセルビア共和国大統領が100万人集会を開いたためにアルバニア人の民族感情を刺激したことが原因になっている。チェチェン紛争の発端は18世紀後半のロシアの南進政策により、カフカース地方のチェチェン人が踏みにじられたことに対する憎悪が始まりである。これを契機にチェチェン人の独立抗争の歴史が始まり、今日もイスラム教徒マンスールの聖戦は18世紀から連綿とロシア相手に続いている。1936年、チェチェン・イニグーシ自治共和国となったが、第二次大戦中にドイツ軍に協力したとして、スターリンによって中央アジアやシベリアに強制移住させられたことが大きな遺恨を重ねることになった。ロシアとしては、石油パイプライン等の国益のために独立を認めようとせず、激しい対立抗争が続いている。このチェチェンの独立抗争をトルコやヨルダンに逃れたチェチェン人の子孫が後方から支援している。中国西安市の大学で起こった日本人学生に対する中国人学生による暴行事件は、日本人学生が演じた寸劇に対する抗議行動と報道されたが、原因は日本の中国侵略15年間の屈辱と憎悪に対する報復で、寸劇はきっかけにすぎない。中国人の心の中に閉じ込められていた憎悪が、中国が国際社会の中で力をつけてくるに従って屈辱感が憎悪となって増幅されて大衆行動となった。今後このような問題は中国が大国化してゆくなかで肥大化する可能性の高い問題である。小泉首相の靖国神社参拝も寸劇と同次元で、中国人の憎悪の対象となっている侵略戦争の指導者を崇拝する日本の指導者の行為が、中国人の感情の中で許せない行為として映るのである。理屈以前の問題で、民族の中に残る屈辱と憎悪の感情の問題で、相対的な力のバランスの問題であるから中国が将来大国として国際的に力を発揮するようになると民族間の力の対決となり、紛争の火種となりかねない。韓国が今回発売する竹島の郵便切手も、日本という石油ストーブの前に引火しやすい物を置くような行為で、愚かで将来に緒を引333