ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第20回優秀賞運転手たちや建設会社によって、壁建設の名のもとで掘り起こした樹木をイスラエル市揚に売るための、違法な木材販売会社さえ作られているv。さらに、分離壁の西側、すなわちイスラエル側に取り残され孤立を余儀なくされたパレスチナ人の家族もたくさんいる。被害状況を上げれば切りがないのでここまでにしておく。UNRWAが2004年1月22日に報告したように分離壁建設が、教育、保健衛生、援助や社会サービスなど、パレスチナ人の生活に深刻な影響を及ぼしているのであるvi。パレスチナ側は、壁が第一次中東戦争の停戦ラインである「グリーン・ライン」に沿って建設されているわけではなく、ヨルダン川西岸地区の中に深く食い込んでいることを非難する。この地域は、1967年の第三次中東戦争でイスラエルが占領したが、国際社会はイスラエルがこの地域から撤退するように求めている(国連安保理決議242号1967年11月)のだ。さらに、壁の建設は、占領地の財産接収や占領民の強制移送を禁止した国際法(ハーグ陸戦規定1907年、ジュネーブ第四条約1949)にも違反すると主張する。また、壁の建設は、オスロ合意の一つの目的であつたイスラエルとパレスチナの問の「信頼醸成」を最終的に放棄するものだと唱えるのであるvii。(2)イスラエルの主張イスラエル側は、あくまで分離壁はテロを防ぐために存在し、イスラエルとパレスチナの共存のために必要だと主張する、駐日イスラエル大使viiiは「殺入という任務を帯びてイスラエルに送り込まれる者たちは、年若い子供たちを政治的に洗脳するシステム化された生産ラインの『最終製品』である。彼らは自分自身と一人でも多くの人間を爆弾で吹き飛ばす覚悟ができるまで、不合理な憎悪を吹き込まれる」とパレスチナ側を非難する。その上で「フェンスが将来のパレスチナ国家の創設を阻むものだという議論もある。主権国家とテロは相いれない。テロがやめばフェンスは無用になり、国家創設を交渉する道が開かれるだろう」と述べる。テロがやめば、分離壁撤廃もありうると強調する。そして、パレスチナ自治にテロの取り締まりを要求する。ⅴhttp://www32.ocn.ne.jp/ccp/wall/wallf.html(NPO法人:パレスチナ子どものキャンペーンのホームページ,2004/01/31)ⅵhttp://www.unic.or.jp/mainichi/mainichi.html(国連広報センターのホームページ,2004/01/31)ⅶ同脚注vⅷ朝日新聞(2004/11/21)「私の視点◆中東和平「分離壁」やむを得ない選択」駐日イスラエル大使イツハク・リオール315