ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

備えた監視塔を備え、さらに電流が流れるフェンス・塹壕・監視カメラ・センサーがあり軍事バトロールの行われる36~100メートル幅の「緩衝地帯」が設けられている。その他の場所では、壁は、何重もの有刺鉄線、軍事パトロール用道路、足跡をたどることのできる砂の敷かれた道、溝、監視カメラ、そしてそれらの真ん中に位置する高さ3メートルの電流が流れるフェンスによって構成されている。多くの場所では壁は家屋や商店や学校から何メートルも離れていないところに位置している。そのため、壁の周囲の「緩衝地帯」を造るために、家屋の大規模な破壊と近隣住民の追放が行われる。「第1段階」(ジェニン(Jenin)からカルキリヤまでの壁の北西部分:地図1の赤い線の部分)の145キロメートルの工事はほぼ完了している。これら「第一段階」において発生した事実について、言及していこう。それらの地域では、四方が完全に囲い込まれている。イスラエル軍は、壁に通用門を設けているが、これらの通用門は農民が自分の土地に行けることを保証するものではない。むしろ、許可証と検問所によるイスラエル側の抑圧システムを強化するものである。壁が通過する51のパレスチナ人居住地区(町や村)のうち、25地区では、住民は自分たちの農地へのアクセスを完全に遮られ、4地区ではアクセスを制限され、自分の農地に制限なく行くことができるのは13地区だけであることが報告されている。イスラエルによる閉鎖とトゥルカレムを囲む壁によって、住民は仕事のための移動を妨げられ、そのために失業率は、2000年の18%から2003年には78%にまで増加した。ヨルダン川についで、この地域の中で最も大きい水資源である、西部帯水層はジェニン、トゥルカレム、カルキリヤ地区の下に位置し、この地域を西岸において最も農業生産の高い土地にしている。世界銀行によれば、2000年にこれら3地域は西岸地区の農業生産の45%を担っていた。分離壁のため多くの村落が唯一の水源を失うことになる。3175世帯、約2万人は、家は壁の東(自治区側)にあるが、その農地は壁の西(イスラエル側)に位置し、生活の糧、資材、代々受け継いできた財産を失うことになった。約1万頭の家畜が放牧場に入ることができなくなる。土地の破壊を行っているブルドーザー314