ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第20回最優秀賞なる。新加盟国の大部分は、第二次世界大戦後、欧米日の帝国主義的支配からの政治的独立を達成した、アジア、ついでアフリカの新興国家群であるが、90年代に入って、ソ連、ユーゴスラヴィア連邦などの解体の結果として、旧ソ連構成国、旧ユーゴスラヴィア構成国など十いくつかの新独立国家が加盟を認められた7。国際連合は、中国、フランス、ソ連、イギリス、アメリカおよびその他の署名国の過半数の批准を得て1945年10月24日に正式に発足した。国連憲章は国連の基本文書で、加盟国の権利や義務を規定するとともに、国連の機関および手続きを定めている。また、国際条約として国連憲章は加盟国の主権平等から国際関係における武力行使の禁止まで、国際関係の主要原則を成文化している。国連憲章は前文で始まり、国連の目的と原則、加盟国の地位、機関、紛争の平和的解決、平和に対する脅威、平和の破壊および侵略行為に関する行動、国際経済協力、非自治地域に関する章で構成されている。国連憲章が定める国連の目的をまとめると、「国連が中心となる国際秩序の維持」である8。そして国連の目的である世界の秩序を維持するために機能しているのが安全保障理事会である。しかしこの安全保障理事会には数々問題がある。まさに大国で構成されており、他の加盟国の権限とのバランスが悪く、拒否権のために対策が決定されにくく、システムとして民主的かどうかが懸念されている。ここで20世紀後半の国際法の歴史を振り返ると、武力行使禁止原則と人民の自決権の確立を軸とする、国際法がよって立つ価値の普遍化の歴史であったといえる。そして、この歴史過程で主役を演じたのは、先進国の人民の平和運動、労働運動、社会主義運動などとならんで、アジア・アフリカ・ラテンアメリカの人民の民族解放運動を求める運動であった。国連憲章は、少なくとも一定程度まではこのような諸運動の成果を反映するものであり、したがって国連は、その後のこのような諸運動の舞台としての役割を果たしてきたといえる9。b過去の紛争処理国連は紛争にどうかかわってきたのか、国連の今までの紛争処理のし方を、大まかに分7田口富久治、前掲、pp.1-4.8 国際連合広報局:国際連合の基礎知識:pp.2-11.国際連合広報センター監約,世界の動き社,1999.9松井芳郎:湾岸戦争と国際連合:p.18,日本評論社、東京、1993.281