ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

ページ
251/1096

このページは 佐藤栄作 受賞論文集 の電子ブックに掲載されている251ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

佐藤栄作 受賞論文集

第19回奨励賞21世紀の国際紛争-国際連合は『新しい戦争』を防止することが出来るか?佐藤寿一要約紛争・難民・自然災害・環境破壊・入権侵害・麻薬・飢餓・貧困・感染症・……etc.人間の生命や安全を脅かすさまざまな地球規模の課題の根本的な解決に対して国家主権の絶対性・不可侵性は却って障害になるとの認識は急速に拡がり、国家レベルを超えた新たな世界秩序=グローバル・ガバナンスの必要性が説かれ始めて久しい。その結果、21世紀を『地球市民社会の世紀』へ、また『人権の世紀』へという声は日増しに高まり、20世紀は『国民国家の世紀』・『国家主権の世紀』、そして結果的に『戦争と革命の世紀』として記憶され断罪されようとしている。しかし、世界の歴史を振り返れば、人類が知恵を搾って発明したポリス・帝国・教会、また民族・国家・イデオロギー等の平和へのアイテムが、いつの間にか逆に人類を戦争や紛争へと導くアイテムにすり替えられてきたことは明らかである。つまり、新しい時代に登場した新しい主役が必ず「新しい戦争」を引き起こしたのである。とすれば、皮肉にも地球市民こそ警戒と監視の対象にしなければならなくなる。同時多発テロを惹起したアルカイダが「非政府軍」であったことを考えれば、「非政府」・「非営利」は双刃の剣であることを私達は正しく認識しなければならない。特に危惧されるのは、国家が世界市民=NGO・NPOの名を騙ることで、また特定のNGO・NPOを後押しすることで「正義」を獲得し国益を実現しようとする事態である。それは「国家支援テロ」の対極にありながら、同じ体質と危険性を持つものであると言わざるをえない。249