ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

ページ
250/1096

このページは 佐藤栄作 受賞論文集 の電子ブックに掲載されている250ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

佐藤栄作 受賞論文集

国連大学自体の発展ならびに改善にも併せて努めていく必要性がある。この点に関しては、21世紀において国連がどのような方法において人類に貢献できるのかという期待に応えるため、国連大学は「21世紀における国連システム(The United Nations Systemin the 21st Century)」という名のプロジェクトを立ち上げた。1995年に始まるこの計画は、国連を1主体(Actor)、2議論の場(Arena)、3政策手段(Policy Tool)の3つの異なる観点からのアプローチが行われている。また、調査グループは、1国家、2民間団体(NGOs)、3市場の力(market forces)、4地域的制度(regional institutions)、5国際組織(international organizations)の5つの主要な国際社会における主体に焦点を当てており19、国連大学による積極的な自己改革として評価できる。第二次世界大戦後に国連が創設されて以降、国際政治環境は冷戦の終結により、そして同時多発テロ事件を契機として大きく様変わりした。しかし、国連ならびに国連大学の主要な目的が、内戦や国家分裂の防止あるいは紛争後の平和構築活動(peace-building)を含めて「国際の平和及び安全の維持」であることに変わりはない。これらに対する多角的かつ実際的な研究を着実に積み重ねていくことが国連大学の課題であるといえる20。そのためには、国際紛争の解決に果たす国際連合及び国際連合大学の役割りを向上させるための議論がより本格的に行われる必要性があるといえよう。24819その他にも、年に一度開催されるシンポジウムにおいては、調査グループによる報告が行われ、批判的に議論されている。また、会合で提示された文書を基礎として、その編集されたものが国連大学出版部より「国連21世紀シリーズ(theUN21series)」として出版されている。20その証左として現在の国連大学は、現代の国際社会の変化に応じてその研究領域は主に以下のものに集中している。1国際関係と世界秩序―進化する国際関係の規範、制度と相関。2国連システム―特に紛争予防と紛争処理、紛争終了後の平和構築、ならびに安定した国際秩序の維持に関する国連の役割。3人間の安全保障―世界の関心が軍事力に依存した国家防衛を主眼とする「国家安全保障」から個人の生活福祉を重視する「人間の安全保障」に移行しつつある状況の反映。4大規模武力紛争(国家間紛争、国内紛争)と紛争管理―現代の紛争の原因、影響そして形態。