ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

のことは、国連大学がまだ有効に利用されていない部分が多々あるようにも思われるし、改善されるべき余地を残すものとして考えられる。その改善されるべき一端は、国連大学憲章においても垣間見られるのである。例えば、第1条4項は「国連大学は、学問および研究の世界的共同体内における活発な相互作用を増進するため、自らの活動から得た知識を国際連合および専門機関、学術研究者ならびに一般大衆に普及する。」と規定するが、「自らの活動から得た知識」という憲章上の文言は、国連大学の活動領域を自ら限定してしまっているように思われる。「自らの活動から得た知識」ではなく、「国際連合の活動から得た知識」とすべきであろう。国連の活動は幅広く、フォローしきれない部分もでてくると思われるが、各専門機関等との間に密接な連携関係を持つことによって、国際紛争の解決に貢献することが望まれる。Ⅲ国際紛争の解決に向けて―国際連合と国際連合大学の新たな協働関係1国連憲章の目的の実現へ向けて国際連合は、国際社会に存在する主権国家が国際協力を行うためのもっとも重要な手段のうちのひとつである。国際連合が創設されたのは、その前身である国際連盟が第二次世界大戦を防止し得ず、「一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救う」(国連憲章前文)ためであった。その主要な目的は「国際の平和及び安全」を維持することである。このための手段として、平和に対する脅威の防止および除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧のため有効な集団的措置をとること、また、平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整または解決を平和的手段によって且つ正義および国際法の原則に従って実現することが規定された。いわゆる集団安全保障体制と紛争の平和的解決の義務である。さらに国連憲章は、「武力による威嚇又は武力の行使」を禁止し、戦争の違法化を徹底させるとともに、国際連盟よりも優れた平和維持機構として誕生したのである。主要な目的である「国際の平和及び安全の維持」は、国際社会がどのような変化を見せ244