ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

を要請があった後24時間以内に招集しうる。この招集は、加盟国の過半数の請求かいずれかの7理事国の投票に基づく安保理の要請によって実行される。すなわち、憲章上は「国際の平和及び安全の維持」に関しては安全保障理事会に第一義的な責任が課されているが、安全保障理事会がその責任を果たせない場合において総会が副次的とでもいうべき責任を果たすよう要請されることを意味する。この総会による「平和のための結集決議」の現代的な利用法も国連大学の研究課題として挙げることができよう。上述した安全保障理事会並びに総会の他、事務総長も国際紛争の解決に関する役割りを与えられている。憲章第99条は、「事務総長は、国際の平和及び安全の維持を脅威すると認める事項について、安全保障理事会の注意を促すことができる」と規定し、事務総長に国際連盟事務総長には付与されなかった政治的権限を付与している。また、歴代事務総長は同条を基礎とした、国連憲章の目的のための明示されていない活動さえも実行してきている(黙示的権限の行使)6。また、国連の「行政長官」(第97条)としてかかる事態に対する懸念を表明したり、第98条の下で平和維持活動に関する権限を付与されたり、総会への年次報告の提出による政治的権限の行使を通じて国際紛争の解決に貢献しているのである。c)国連平和維持活動による紛争解決の促進国連の紛争解決システムにおいて重要であるのは、憲章の枠外で発展した平和維持活動の実行である。平和維持活動は、紛争そのものの解決を目的としたものではないが、戦闘の再発や紛争の拡大を防止するうえで大きな役割りを果たしてきた。国際平和を脅かす地域的な紛争や事態に対して、国連が関係国の要請や同意の下に、国連の権威を象徴する一定の軍事組織を現地に駐留せしめ、これらの軍事機関による第三者的・中立的役割りを通じて、地域的紛争や事態を平和的に収集することを目的とした活動をいう7。国連の平和維持活動が最初に派遣されたのは、1956年に起きた第二次中東戦争に対して総会決議998および1000に基づいて派遣された国連緊急軍(UNEF)であった。これ2386 拙稿「国連憲章99条に基づく国連事務総長の「黙示的権限」―その機能と一般的容認の存否―」『神戸外大論叢』第51巻7号(2000年)。7香西茂著『国連の平和維持活動』(有斐閣、1991年)、2-3頁。