ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

年8月15日、世界最初の核兵器であるウラン型、プルトニウム型二発の原爆投下により日本がポツダム宣言を受諾した、という連合国側の通説が何よりの論拠であろう。しかし、あれから約60年の間に、冷戦をテコに、核兵器は非常な破壊力を備え、それを運ぶ兵器も宇宙規模にまで発展した。現在の核兵器の使用は何度もの人類壊滅を招くほどという。最早60年前のように紛争の早期停止のためにその兵器を使用はできまい。また、それを持っていること自体が抑止力となるという論が正しければ、今現在紛争が起こっているはずもない。逆に、現在の核兵器がとても使えるような代物ではない、と認識されてしまったからこそ紛争(テロ)が起こっているようにも見える。いったいそこまでの破壊力をもつ兵器の保持が平和を生むとは誰がどうして信じられようか。どの国にも主権がある。その主権、存在を脅かされたと感じれば、どの国もやられる前にやり返したいとの思いを持つのは当然である。そこに、ある国には保有が認められ、ある国には認められない武器が存在すれば、持たぬ国はその保有と使用を渇望するのも明白である。どうせやられるのならという捨て鉢な気持ちから如何ほどの破壊力があってもその使用に踏み切るかもしれない国家、組織もあるだろう。それこそが核不拡散の提唱の根拠なのだろうが、これが益々持たぬ国の、他兵器の保有と核兵器の隠れた開発に繋がってはいないだろうか。国民感情レベルにおいても、国連の認める核保有国に対し、「他国に核保有を認めず自分達が世界の中枢であると旗印を振るとは何たる態度だ」という敵意を生むのではなかろうか。核兵器が、あるいはもっと脅威的な兵器が、決して国際紛争の抑止力にはならないことを認識する時期はもうとっくに来ていよう。核兵器は最早、不拡散ではなく全廃が基本である。現在の混沌としたテロ(紛争)勃発の危険性の高い状態でも、他国侵害を厳しく禁止する条件をつけた上で撤廃の確約をする必要があろう。2-3、結言~国連の体制の問題点総論と、国連大学の研究課題3~:以上述べてきたとおり、第二次大戦の戦勝5ヶ国こそが世界の中心である、世界の国々を従えるのである、という認識に立っていては、グローバルな社会関係を構築し得る現在、228