ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第19回優秀賞復帰させることが新たな紛争(テロ)を起こさせない道であり、次の国際紛争を避ける道であろう。現在是とされる政治体制を持つ国へと作り変えていく方策の方が、対象国が敵対国家、怪しげな国家へと進む道を塞ぐには便利である、と考える向きもあろう。しかし、文化的背景の全く異なる国家を、テロを起こし敗北したからといって現在是とされる国家体制へ完璧に変貌させることは不可能である。たとえある程度実現しても、結局、後のちに火種を残す結果にしかならない。文化的背景の無視がいかほど危険であるか、紛争(テロ)が起こる原因を考えれば容易に理解できよう。要は各国家に主権があり、それを犯されることもなければ決して犯してもならない、という一点を理解し遵守する国家が誕生しさえすればよいのである。対象当事国がいわゆる「国際法」を遵守すればよいのである。ただし現実にはこれは非常に難しく、現在までの国連における国際紛争解決策ではこのような対処ができていない。よって、現実に当該国に他国侵害放棄を確約させる手段の開発と、経済的無償援助を廃し、かつ当該国を支配下に置かぬ形で、確約が実施されているかを正確に見極める能力、手段、法制定を開発することが、国連大学に強く求められよう。2-2-2、国連に求められる他国を認める必要性~人間の生の平等性2~:地球規模の国家間交流が当たり前となっている現在こそ「様々な国」を存在させることは危険だとする意見もあろう。自国が現在是とし得ない思想の移入、蔓延、それに伴う自国の混乱のおそれが想定できるからだ。しかし、人間に個性があって一方が否定すれば必ず否定された側は反感を持つのと同様に、その人間の集合体である国家にも個性があり、個性の否定は反発を生む。更に、現実には、国家は選出過程がどうであれ統率者あるいは代表者を頂いて成り立っているのだから、一方の国家が他方の国家を否定するのもそれに反発するのも、(国民の総意を得ていようとも)最終的には当事国の統率者の意見、判断、発言による。そこから紛争(テロ)や国連許諾済みの国際的攻撃が起こった場合、被害を受けるのは、火種の決定者ではなく、圧倒的に政治軍事を生業としない国民である。紛争225