ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

と見えても、それを取り上げて文句をつける権利はない。相手にとってはこちらがおかしくみえるのかもしれない。国連に認証され、ごく一般的だと思われる見方を振りかざす態度が、テロ紛争を起こす理由や口実として利用される例も多い。どの国も他の国を侵害してはならないのである。この徹底が国際紛争回避には非常に重要である。2-2-1、現存する国際紛争の解決方法と、国連大学の研究課題2:では、現実に起きてしまっている国際紛争を、まず如何にして止めるのか。捨て鉢になって、自国家に居住する人間を入質にとり(そうとしか周りにはみえない)、侵略を進めんと動く国家をどう止めるのか。この解決急務な現実問題に際しては、国連認証の元の国際的攻撃、軍事的対抗は避けられまい。そして、この対抗に負けは許されない。更に、戦後はその国家をどうこうする援助を与えることを、食料等の生活物資の有償援助以外、一切止めることが必須である。なぜか。国家の枠組みを現在是とされる姿に変える方向で経済的援助を与えて国家を新生させる、という形態は一見人道的に見えて、その実、紛争(テロ)当事者の責任が問われにくい。すなわち、始めは戦争からの解放と援助によって懐柔される戦災人民の心にも、長期に渡り生活難がつづくと不満が生まれ、それが援助国であるさきの紛争相手国に向いてゆく。そして紛争(テロ)当事者もしくは新手の統率者側が国民の支持を得て再び紛争(テロ)を引き起こす国家へと進んでゆく可能性が大きいのだ。これでは国際紛争にはいつまでたっても終焉が見えてこないし、かえってエスカレートするばかりである。何人(なんぴと)の命も瑣末には扱えないのが原則であるが、国連認証済みとはいえ国際紛争を実行する以上、紛争後の対象国に対する経済援助停止までを対抗措置の一環としてしっかり据えるべきである。本質的には紛争後は自力で復国してもらう以外に方法はないことを、対象国が認識する必要がある。また、国際攻撃終結の条件として対象国が他国を侵害しないことを条件の第一義とし、その実行を監視監督する以外、対象国に干渉すべきではない。国連側は対象国がいかなる体制を持つかを指示すべきではない。そうして誕生した国家を敵視せず、対外侵略を為さないとみなせた段階で国際社会に224