ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

例えば、国連の各主要ポストを日本人が得ていることは承知だが、重大決議に対して発言権を獲得しているわけではないし、国連が日本の申し立てを重く受け止め行動した重要事案も見当たらない。現在、誰の目にも逼迫が明白な極東情勢にあっても、国連が発する声明の中に積極的な北朝鮮制裁の内容は見当たらない。人道的援助継続の必要性がこれまでと変わるところなく謳われる始末である。資金なくして国連運営が不可能な以上、その資金に見合うだけの発言権は頂いてしかるべきであろうとも思われるが、それも実行されぬ現状である。さらに、国連のゴーサインがあろうがなかろうが、武力行使は人を殺すこと、つまり殺人行為である。だからこそ、5ヶ国を中心に国連が動かされることは、生存権という人道面からも非常に問題である。今後、国連大学に求められるのは以下のことである。1、現在起こっている国際紛争終了の処理に関連して。・国際紛争当該国に他国侵害放棄を確約させる有効な手段を開発すること・経済的無償援助をせず、且つ当該国を支配下に置かぬ形で、他国侵害放棄が実行されているかを正確に見極める能力、手段、法制定を開発すること2、国連の運営形態に関して。・第二次大戦戦勝国5ヶ国を常任理事国する、という5ヶ国体制ではない国連運営の手法の可能性の討議国際社会において国家が各々主権国家であるという根本原理の尊重は、永続的な国際紛争の阻止と国連の形骸化の阻止に繋がるのみならず、この原理の徹底なくして紛争阻止は不可能であろう。頭では分かっているが、理想論で非現実的だと眼を背けてきた事案である。国連が、ある国を中心に運営されるのではない国際平和の実施団体として機能することは、国際社会において国家は各々主権国家である、という根本原理を率先してアピールすることに等しい。いまこそ、常任理事国の拡大あるいは見直し、という以前から言われ216