ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第18回優秀賞「国連大学に期待すること-世界が必要とする人材を育てるために」西口美津子1.はじめに本論文は、日本が国際協力を行う上で必要となる人材を育成するにあたり、国連大学がどのような役割を担うことが期待されているかを論じる。今後、財政的な支援の更なる増加が期待できない以上、日本から途上国への政府開発援助(ODA)は、人材育成や知的貢献といった人的貢献に向かわざるを得ない。しかし、現在、日本における国際社会に貢献できる人材は限られており、人的貢献の実現には乗り越えなくてはならない課題も多い。そうした中で、日本に本拠を置く国連大学が、日本の国際協力に必要とされる人材の育成・教育において期待される具体的な方策を挙げ、国連大学の果たすべき役割を探る。2.日本における人的貢献の現状財政的支援から人的貢献へ日本経済の低迷やODA全般に対する見なおし論議の高まりを受け、ODA予算の量的な拡大の望めない中、日本から途上国への援助は、財政的なものから人材育成や知的貢献といった人的貢献に移りつつある1。今まで、円高を背景に急激に増加した財政的支援の為に「金は出しても顔が見えない」あるいは、「金を出すのは日本人、感謝されるのは欧米人」と言われてきた日本の援助にとっては、大きな方針の変換が迫られている。外務省はそのホーム・ページ上で、人材育成について途上国自らが人材育成をできるための支援を基本理念とし、専門家の派遣や研修員の受け入れ、日本への留学生の支援、教員の人的交流の推進などを挙げている。また、知的支援については、法制度整備を含む政策・体制整備への支援、貧困層救済のための制度構築に関する支援、民間の人材活用によ1高木信二『ODAは知的支援重視で』日本経済新聞、2001年12月4日。117