ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

信託統治(そして直轄植民地)下にあった新興諸国の多くが慢性的な経済的困難と内戦に苦しみ、難民の流出や内紛の飛び火化により周辺地域の不安定化をも引き起こしている。民族自決原則に基づく安定した主権国民国家の形成が成功したとは言いがたい。委任統治・信託統治が過去の遺物と考えられるようになって久しい。国際機関からの委託に基づくとはいえ、欧米(および委任統治については日本も)先進国による非欧米地域の行政が時には統治国の恣意的政策を交えて行われた点に帝国主義の残滓があったことは否定できないからである。しかしながら「近代世界ノ激甚ナル生存競争ノ下二未ダ自立シ得サル人民」(国際連盟規約第22条-1)を保護し、「国際の平和および安全の増進」(国連憲章第76条a)をめざした委任・信託統治の遺産を「植民地支配の復活」といった不毛なイデオロギー論争を超えて再検討する時期にきているのではないだろうか。この点で国際連合のブレインともいうべき国連大学がこの分野で果たせる役割は小さくない。866