ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「最近見うけられる民族紛争と国連の果たし得る役割」古川勝久初めに「コソボ爆撃ではクリントン政権はナイーブすぎた。我々、国防総省は、政治的制約さえなかったならば、あの七週間にも渡った爆撃を十日から二週間で完了し当初の目的を達成することができていたと今でも確信している。戦争が長期化したからこそ、虐殺を許してしまった。NATO内部での調整作業に時間がかかったこともあるが、それよりも何よりも、『いい人』に見られたいというクリントン政権内の政治的思惑が軍事作戦に大きな足かせをはめていた点を指摘したい。乱暴な言い方かもしれないが、つまるところ、いかにセルビア人が残虐行為だったとはいえ、『白人が白人を徹底的に叩く』構図に心理的抵抗があった点は否めない。イラク人や北朝鮮人が相手だったらもっとスピーディーな軍事作戦となっていただろう。」1今回のコソボ爆撃作戦に参画したアメリカ国防総省国防長官室のバルカン専門家の話である。コソボ爆撃開始にあたって、クリントン政権は地上軍不投入を宣言し、後に「戦略的オプションを自ら狭めてしまった」と批判されることになる。しかし、当時のアメリカ国内世論を考えれば、もし地上軍不投入を確約していなかったならば、コソボ爆撃に対する国内支持はとても得られそうにもなかった。爆撃開始と同時に始まった議論は全く否定的なものばかりだった。「そもそもコソボとは一体どこだ?」「アメリカには何も関係ない」「ベトナムの二の舞、泥沼にはまる」「息子や娘をそんなヨーロッパの片田舎で死なせるわけにはゆかない」等など。世論がようやく爆撃容認に傾いていったのは、爆撃開始から数週間後、ミロシェビッチ政権による組織的虐殺の実態が広く認知されるようになってからの8301筆者インタビュー